2023/06/06 11:15

 なにわ黒牛の創始者、松田武昭は建設機械を造る会社や衣料品を扱う商社を経て、大阪中央卸売市場(食肉市場)に勤務しました。食肉市場で40年間勤務し、この間、全国各地から成豚、成牛を集荷し東は東京芝浦市場、西は大阪南港市場(松田の勤務先)という大消費地の二大建値市場で国の認可を受け、枝肉を競り販売し価格形成事業をとり行っていました。

 

松田の勤務先が中央卸売市場であるため、重要データが蓄積できるので全国各地の生産者から安定した生産肥育(経営)につながるノウハウが聞きたいと講演会の依頼が毎年ありました。この依頼を受ける中、九州宮崎県の講演会質問コーナーにて「立派で素晴らしい講演であったが、あなた(松田)は牛を飼った事がありますか。」とご年配の方に指摘されました。その時、松田は何も答えられませんでした。多分このご年配の方は、牛飼いは机上の理論の通り簡単にできるものではなく、非常に難しいのだと言いたかったのでしょう。


これが起点となり「人生は一度きり、棺桶に足を突っ込む時、悔いのない人生やったな!」と思える生き方をしたい、年齢は関係ないと思い、いつかチャンスが来た時は、必ず牛飼いをやろうと松田は心に決めていました。


 
そして、60歳の時です。当時周囲からは「要職につき、役員で生活に何の心配もないのに何でやめるんや!」と反対ばかりされました。大変ありがたいことですが、理由も告げずにとりあえず退社しました。ここからが苦難の連続です。事業計画、資金調達、返済計画、肥育ステージの確立、直接販売計画等、難題山積みでした。なんとか融資を受けることができ、古い牛舎を借りることができたので、牛一頭から飼い始め、今では200頭まで増やすことが出来ました。

 物語はまだまだ始まったばかりです。。。